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7-4・SYUTEN

「燕真っ!」


 入口付近に落ちた為に、身を隠して覗き込んでいた紅葉と眼が合った。その顔色は悪く、呪印による生命力吸収で疲弊して、且つ、鬼共のプレッシャーに萎縮しているのが一目で解る。


「ちょっとヤバそうだから、サッサと逃げろ!」

「ぅ、ぅん・・・でもっ!」


 紅葉は、ポケットからメダルを引っ張り出し、手を精一杯伸ばして差し出した(距離が離れているから届かないけど)。そのメダルは鬼共が所有している3枚と同じ『酒』の文字が描かれている。


「・・・それは?」

「天野のお爺ちゃんがくれたヤツっ!

 お爺ちゃん、『ァタシを守ってくれるメダル』って言ってた!

 だから、ァタシを守る為に燕真が使ってっ!」

「おいおい、随分と横柄だな。」


 妖怪を封印したメダルは、本部に送って妖幻システムで使えるように錬成しなければ使えない。つまり、紅葉が持っているメダルを使用することはできない。


「よくワカンナイけどダイジョブ!

 メダルが『使ってイイよ』って言ってるの!」

「はぁ?」

「だから使ってっ!」


 紅葉は出入口から半身だけ出て、俺に向けて『酒』メダルを投げた!


「うわっ!バカっ!!」


 鬼達が集めているメダルだ。慌てて立ち上がって、『酒』メダルをキャッチする。


「ん?」


 鬼共が持っていた『酒』メダルは漆黒色をしていたが、託されたメダルには光沢があり、同じ黒色でも質感が違う。


「ヌゥゥ!それは、御館様を封印せしメダル!貴様等が所持していたのか!?」


 案の定、それまでは俺を歯牙にも掛けなかった茨城童子と金熊童子が、メダルを奪う気満々に構える!


「いきなり奪われたら格好悪すぎるよな。意地でも善戦してやるっ!」


 気合いを吐き、臨戦態勢を整えた途端に、周りが妖気で包まれ、ベルトの和船型バックルが反応をして自動で開かれる。


「ん?メダルをここに装填しろってことか?」


 和船バックルに装填するのは、武装化に使用する『閻』メダルのみ。他のメダルは、Yウォッチのスロットにセットして武器を召喚する。

 何故、和船バックルが『酒』メダルを要求しているのかは解らないが、一呼吸発して、『酒』メダルをバックルに『酒』メダルをセットした!


《SYUTEN!!》


 電子音声が鳴り響き、和船型バックルから闇が放出されて全身を包み込んだ!

 茨城童子、金熊童子、そして紅葉が、俺を凝視している。


「なんだろ~?・・・なんか懐かしいフンイキ。」


 紅葉の反応を見ると、俺の何かが変化をしているっぽい。全身を見廻すと、朱色ベースの全身が黒く変化をしていることくらいは解るが、色以外に何が違うのか、俺にはよく解らない。


「ぬぅぅ・・・バカな?御館様の力・・・だと?

 御館様が、退治屋如きに屈服をした・・・?」


 紅葉の反応以上に、茨城童子の過剰反応が、俺の変化を教えてくれた。それまでは冷静な仕草を崩さなかった茨城童子が激高をしている。


「おのれ、退治屋!誇り高き御館様に何をしたっ!?」


 茨城童子が、両手の指先から鋭い爪を伸ばして突進をしてきた!

 妖気センサーの索敵力が強くなったから?それとも別の理由がある?理屈は解らないが、茨城童子の突進が遅く見える。


「これって、特撮ヒーローやアニメだったら、勝ち筋が整ったパターンだよな。」


 身を低くして妖刀を構えて、茨城童子が振り下ろした爪を受け流し、腕を掴んで背負い投げた!投げられた茨城童子は、体を一回転させて体勢を立て直して着地!直ぐさま掌を翳す!妖気乱舞発動!俺の周り空間が茨城童子に掌握され、妖気が衝撃波となって四方八方から襲いかかる!


「はぁぁっっ!!」


 妖刀を横薙ぎに振るったら、茨城童子の空間掌握が掻き消され、妖気の衝撃波は全て消滅!戸惑いで茨城童子に僅かな隙を見せたので、一足飛びで接近をして妖刀を振るう!爪で受け止める茨城童子は!力は互角だった為、衝撃で互いに僅かに仰け反る!だが、破壊力は俺の妖刀が上らしく、茨城童子の爪に亀裂が入った!俺は素早く体勢を立て直して妖刀を振るう!茨城童子は素早く後退をして回避をするが、避け切れずに胸への浅い裂傷が入った!


「・・・ちぃっ!」


 驚いているのは茨城童子だけではない。むしろ、俺の方が驚いている。


「すげえ・・・『酒』メダル1枚で、こんなに強くなれるのかよ?」

「退治屋如きがっ!!」

「燕真っ!やっつけちゃえっ!!」

「おうっ!任せろっ!」


 鬼壊滅のチャンスだ!狗塚からは「鬼討伐は狗塚の仕事」的なことを言われたが、待つつもりは無い!


「下がってろ、イバさん!」


 茨城童子を庇うようにして、金熊童子が正面に飛び込んできた!


「ハァッ!風烈っっ!!」


 接近戦の間合いの外側から拳の連打を放つ金熊童子!風を纏った無数の衝撃波が飛んでくる!


「邪魔すんなっ!」


 突進をしながら妖刀を振るって受け止める!3発が着弾したが、厚い防御力に阻まれ、大きなダメージにはならない!


「マジでスゲー!」


 金熊童子の攻撃を物ともせずに突っ込み、妖刀を振るった!


「くっ!・・・お館様の力でオイラ達を攻撃するなんて有りかよっ!?」


 剣閃を見切って回避をする金熊童子!しかし、「剣先が伸びて欲しい」と願った途端に、妖刀から妖気の刃が伸びて、金熊童子に着弾する!


「この力が有れば、鬼の幹部なんて楽勝だっ!!」


悲鳴を上げて弾き飛ばされた金熊に、妖刀を振り上げて追い撃ちを掛ける!

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