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6-8・新妖怪バスターズ結成

-16時過ぎ-


 下校をした紅葉が、YOUKAIミュージアムに顔を出した。


「ちぃ~~~~~~~~~っすっ!」


 待ちわびていた俺は、早速、声を掛ける。


「よし、早速(鬼印潰しに)行くぞ!」

「んぇっ?今日もやるの?」

「昨日は、二口女が暴れた所為で、(鬼の印を)ロクに探せなかったからな。」

「ん~~~・・・ワカッタ。」

「アンタ(狗塚)も、準備はできているんだろ?」


 先手を取られた狗塚は、少し肥満そうな表情だ。


「何様のつもりだ?君に催促をされるまでもない。」

「だったら、ちょっと、こっちに来てくれ。・・・もちろん、紅葉もな。」

「・・・んぇ?なぁ~に?」


 紅葉が寄ってきたので、スマホの地図アプリを開いて説明をする。地図には、事前に幾つものポイントを落とし込んでおいた。


「なんの場所?」

「妖気センサーの履歴から、鬼の印が施された可能性がある場所を記したんだ。」

「それが何だ?俺だって、その程度はやっている。」


 狗塚は大きく溜息を付いて言葉のマウントを取るだけで、寄ってくる気配は無い。


「アンタの場合は、ポイントされた場所に行って自分で鬼印を探しているんだろ?」


 センサーの設置数が多い市街地なら、半径5~10mくらいの範囲で鬼印の位置が特定できるが、郊外ではセンターが少ない為に位置の特定制度が落ちて半径15m以上になってしまう。つまり、1回の「地面の気配を探る行動」で、市街地ならば1~2個の鬼印を発見できるが、郊外では発見できない可能性がある。

 だから、狗塚は「日中は自力で探しやすい市街地の鬼印を潰し、紅葉が居る時は位置が不正確な郊外を探す」という方針にしていた。


「このポイントの周辺に鬼印があるなら、

 紅葉を連れて行って見せれば一発で解るよな?

 漠然とバイクを走り回って探すより効率的だ。

 センサーで拾えない郊外で探すのは、時間的に余裕がある土日。

 時間が限られた平日は、ピンポイントで探す。

 町中なら、多少薄暗くなっても、町の灯りで探せる。

 どうだ?これが一番効率的だろ?」

「お~~~~~~!それなら、さがすの早いねっ!」


 半径5~10mの範囲なら、紅葉ならばバイクで通過しただけでも発見できる。狗塚が霊力を酷使するデメリットだけでなく、バイクで往復したり、バイクから降りて探し回る時間すら要らなくなるのだ。


「スゲーぢゃん、燕真っ!実ゎ頭イイの?」

「オマエに言われるままにアシをさせられているだけの俺は暇なんだ。

 『確実に有る』って解る場所に行ってサッサと見付けるなら、

 オマエが学校に行ってるうちに移動経路とか考えられるから、

 こっちの方針の方が楽なんだよ。

 ・・・てか、たかがこれくらいで『頭イイ』は無ーだろ?

 オマエ、俺をバカだと思ってたのか?」

「んへへっ!」


 最初はマウント気味だった狗塚が、今は黙って俺の提案を聞いている。反論は無さそうだ。


「ジイさん、店番頼むな。」

「おう、行ってこい!」


 事務室に顔を出して爺さんに店を任せ、駐車場に行ってホンダVFR1200Fに跨がると、当たり前のように、紅葉がタンデムに飛び乗った。


「急にどうしちゃったの、燕真?」

「何が?」

「昨日までゎ、アイツ(狗塚)と仲悪かったのに、今日ゎスゲー協力的ぢゃん。」

「渋々付き合っても面白くないから、協力してやることにしたんだよ。

 ・・・てか、俺は特に仲は悪くない。アイツと険悪なのはオマエだ!」

「アイツも入れたげて、新妖怪バスターズ結成だねっ!」

「『新』とか『旧』以前に『妖怪バスターズ』などという組織は無い!」


 地図アプリで位置を再確認してからバイクをスタートさせ、事前の地図確認に参加をしなかった狗塚がヤマハ・MT-10を駆って後から続く。




-18時-


 日が完全に沈み、紅葉の眼でも探せなくなったので、YOUKAIミュージアムに戻ってきた。


「ふぇ~・・・おなか減ったぁ~~~~!」


 駐車場に入るなり、紅葉はタンデムから飛び降りて、YOUKAIミュージアム内に駆け込んでいく。俺と狗塚は、建物脇にバイクを並べて駐めた。


「明日も同じことをすんのか?」

「もちろんだ。」

「俺にはよく解んねーけど、札には限りがあるんだろ?」

「ああ・・・明日までに、可能な限り護符は増やしておく。」


 たった2時間で潰した鬼印は30以上。短い移動範囲で、ピンポイントで鬼印が有る場所に行き、即座に紅葉が発見するのだから、凄まじく効率が良い。このペースでは、新しい邪気祓いの護符を作ったとしても、明日中には、数が不足をするだろう。


「明日以降の為に、早速、土蔵を使わせてもらう。粉木さんに、伝えてくれ。」

「疲れてんだろ?飯くらい食えよ。」

「君が勘違いをしないように言っておきたいことがある。」

「急に何だ?」

「鬼印を破壊しているのは俺、発見をしているのは紅葉ちゃん。

 君は、彼女のアシ以外には何の役にも立っていないことを忘れるなよ。」

「はぁ?嫌味か?・・・今更言われんでも、解ってるよ。」


 狗塚は、茶店に立ち寄ること無く、粉木邸に行ってしまった。少しイラッとさせられた俺は、狗塚の背中に‘あかんべえ’をした後、YOUKAIミュージアムに入る。



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