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第75話 価値の消失

―王都・中央通り―


 ざわめきが広がる。


 人が集まる。


 距離を取りながら。


 ただ見ている。


―光景―


 地面に伏す貴族たち。


 かつて威張っていた者たちが。


 今は。


 ただ従うだけの存在。


―市民A―


「……あれ……本当に……」


「貴族なのか……?」


 信じられない声。


―市民B―


「……終わったな」


「完全に……」


 理解している。


 戻れないと。


―権力の崩壊―


 貴族という立場。


 その価値は。


 一瞬で消えた。


 力の前に。


 何も意味を持たない。


―役人の到着―


 王都の役人たちが現れる。


 状況を確認する。


 そして。


「……拘束しろ」


 迷いなく命じる。


―処理―


 抵抗はない。


 できない。


 ただ。


 運ばれていく。


―貴族A―


「……やめろ……」


 かすれた声。


 だが。


 誰も聞かない。


―現実―


 力を失った者に。


 価値はない。


 それが。


 この世界。


―ゼル―


「……」


 静かに見ている。


 何も言わない。


 すでに終わっている。


―リリア―


「……すごい……」


「ここまで……」


 言葉を失う。


 理解はしている。


 だが。


 実感が追いつかない。


―ゼル―


「……終わりだ」


 小さく言う。


 それだけ。


―締め―


 力がすべてではない。


 だが。


 力を持たない者は。


 何も守れない。


 その現実が。


 ここにあった。



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