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第71話 勘違いする者たち

―王都・貴族街―


 静かな通り。


 豪奢な建物が並ぶ。


 その一角。


 数人の貴族が集まっていた。


―貴族A―


「……例の男が戻ったらしいな」


 鼻で笑う。


「ゼル・アークレイドだったか?」


―貴族B―


「はっ、あの落ちこぼれか?」


「昔は天才とか言われていたが……」


「結局は追い落とされた敗北者だろう」


 嘲り。


―貴族C―


「しかも十年も地下にいたらしいぞ?」


「まともな人間なわけがない」


 笑いが広がる。


―勘違い―


 彼らは知らない。


 何も。


 あの十年で。


 何が起きたかを。


―貴族A―


「ちょうどいい」


「顔を出してきたなら、立場を分からせてやるか」


 傲慢な笑み。


「今の王都で力を持つのは我々だ」


―場面転換―

―王都・中央通り―


 人の流れ。


 その中を。


 ゼルが歩いている。


 静かに。


 何も気にせず。


―接触―


「……おい」


 声がかかる。


 ゼルは止まらない。


「聞こえなかったのか?」


 前に立つ。


 さっきの貴族たち。


―対峙―


「……お前がゼル・アークレイドか?」


 見下す視線。


―ゼル―


「……そうだ」


 短く答える。


 それだけ。


―貴族B―


「ずいぶん落ちぶれたものだな」


「十年前は持て囃されていたのに」


「今はただの帰還者か?」


 笑う。


―ゼル―


「……用件はそれだけか」


 興味がない。


 完全に。


―貴族A―


「随分な態度だな」


 顔が歪む。


「立場を分かっているのか?」


「ここは王都だ」


「我々が支配している」


―沈黙―


「……」


 ゼルは何も言わない。


 ただ見ている。


―違和感―


 その視線。


 貴族たちの言葉が止まる。


 一瞬。


 理由は分からない。


 だが。


 “嫌な感覚”。


―ゼル―


「……そうか」


 小さく呟く。


「なら」


 一歩、踏み出す。


―圧―


 空気が変わる。


 重くなる。


 呼吸が詰まる。


―貴族C―


「……な、なんだ……?」


 後退る。


 無意識に。


―本能―


 理解していない。


 だが。


 体が拒絶している。


―ゼル―


「……関係ない」


 淡々と。


「お前たちが何を持っていようと」


「……関係ない」


―締め―


 知らない者は。


 分からない。


 自分たちが。


 何に触れてしまったのかを。


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