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第383話「言葉なき対峙」
城壁の末端、かつては華やかだった貴族街の入り口。
焼け焦げた木々の残骸が、主を失った邸宅の門前に虚しく転がっている。
そこを通る風には、微かに焦げたアロマの匂いが混じっていた。
一人の老いた門番が、すでに誰も通らなくなった境界線に立ち、遠くの王城を見つめていた。
彼の目には、城門の前に立ち続けるゼルの影が、はっきりと映っていた。
男は動かない。剣を抜くこともなく、城内を脅かす言葉を口にすることもない。
ただそこに存在している。
その静かな佇まいこそが、王都に残された者たちの心を、根底から揺さぶり続けていた。
かつて第一部で暴かれた、地下施設の悍ましい真実。
その罪の記憶が、今になって噂という空気になり、街の隅々まで染み出している。
門番は、自分の持っている古い槍をそっと地面に置いた。
戦うべき相手が誰なのか、もはや誰にも分からなくなっていた。
物理的な衝突はなく、ただ静かに、国家としての機能が剥がれ落ちていく。
彼はただ、この街が完全に沈黙するその瞬間を、冷たい風の中で見つめていた。




