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第304話「静かな分岐点」
夜。
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王城内部。
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会議室。
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報告が続く。
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「……退役願い」
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「……八十七件です」
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静かな声。
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数字は増える。
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誰も驚かない。
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別の報告。
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「……北門警備隊」
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「……応援要請継続中」
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さらに。
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「……市場流通量」
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「……前月比五%減」
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会議室は静まり返る。
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数字。
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数字。
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数字。
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だが。
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その向こうにあるものを。
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誰もが理解していた。
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一方。
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最上階。
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ヴァルディスは窓辺に立つ。
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広場。
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ゼル。
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変わらない。
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「……分岐点だな」
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小さな声。
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「……崩れる国は」
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「……いつも静かだ」
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短い沈黙。
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「……誰も気付かぬうちに」
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「……戻れなくなる」
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近くの騎士は。
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窓の外を見る。
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広場は平和だった。
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露店。
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人々。
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笑い声。
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そして。
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ゼル。
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王城は沈む。
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街は生きる。
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その距離は。
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日に日に広がっていた。
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