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裏切られた俺だけが覚醒した 《契約支配(ドミネーション・コントラクト)》 ――奪われたすべてを、奪い返す 〜今さら謝ってももう遅い〜  作者: 竜太郎


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292/444

第292話「二つの王都」

 夜。


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 王城内部。


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 会議室。


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 空気は重かった。


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「……退役願い」


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「……六十一件です」


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 静かな報告。


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 数字は増える。


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 さらに。


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「……北門警備隊」


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「……追加欠員二名」


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 誰も顔を上げない。


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 沈黙だけが続く。


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 一方。


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 同じ時刻。


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 王城前広場。


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 酒場は賑わっていた。


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 笑い声。


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 乾杯の音。


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 商談。


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 雑談。


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 いつもの夜。


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 そして。


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 ゼル。


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 変わらない。


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 王都は二つに割れていた。


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 崩れていく王城。


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 慣れていく市民。


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 同じ街。


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 同じ夜。


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 だが。


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 まるで別の世界だった。


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 一方。


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 最上階。


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 ヴァルディスは窓辺に立つ。


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「……面白いな」


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 小さな声。


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「……城は沈む」


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「……街は生きる」


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 短い沈黙。


---


「……どちらが先に限界を迎える」


---


 近くの騎士は。


---


 答えられなかった。


---


 その問いは。


---


 王国そのものへ向けられていたからだった。


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(次話へ)

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