第25話 終わらない罰
―中央広場―
「……次で終わりだ」
ゼルの言葉が落ちる。
静寂。
誰も動かない。
視線は一人に集まる。
ガルド。
―ガルド―
「……やめろ」
かすれた声。
「……やめてくれ」
さっきまでの強さはない。
ただの“人間”だった。
「……頼む」
「もう……」
「……許してくれ」
―ゼル―
「……遅い」
即答。
「全部、終わってから言うな」
冷たい声。
「……俺は……」
「知らなかったんだ……!」
「妹のことも……!」
必死の言い訳。
「関係ない」
切り捨てる。
「お前がやったことは変わらない」
完全な断罪。
―最後の選択―
「選べ」
ゼルが言う。
「今ここで死ぬか」
一歩、近づく。
「それとも」
「生きて後悔し続けるか」
沈黙。
誰も息をしない。
―選択―
「……生きる」
ガルドが言う。
「……どんな形でもいい」
「……生きたい」
崩れた声。
―契約―
「……そうか」
ゼルが頷く。
「なら契約しろ」
手をかざす。
「……従う」
「すべてに」
「……契約、成立」
その瞬間。
空気が変わる。
―処理―
「連れて行け」
「はい」
ルークが動く。
「……どこへ……」
ガルドが呟く。
ゼルは答える。
「お前の場所だ」
―後日―
王都の外れ。
一つの塔が建つ。
誰も近づかない。
誰も触れない。
―塔の中―
暗い部屋。
冷たい空気。
そこに。
ガルドがいる。
動けない。
逃げられない。
ただ。
“聞こえる”。
―声―
「……なんで俺じゃなかった……」
「……違う……」
「……俺は……正しかった……」
何度も。
何度も。
同じ言葉が繰り返される。
終わらない。
―外―
「……あれが」
「裏切りの代償か」
民衆が囁く。
「……怖いな」
「ゼルってやつ」
震える声。
―ゼル―
「……」
塔を見上げる。
表情はない。
ただ一言。
「一つ目だ」
静かに呟く。
―締め―
裏切りには、代償がある。
それは死では終わらない。
終わらせない。
それが。
ゼル・アークレイドの復讐だった。




