第24話 逆鱗
―中央広場―
「……まだ終わってねぇ……!」
ガルドが叫ぶ。
息は荒く、視線は揺れている。
「俺は……まだ……」
言葉が続かない。
何も残っていない。
それでも。
「……終わってねぇ」
繰り返す。
―ゼル―
「……一つだけ聞く」
静かな声。
ガルドが顔を上げる。
「……何だ」
ゼルは一歩、近づく。
その動きだけで。
空気が変わる。
―問い―
「ルナを見たか」
その一言。
「……誰だ、それ」
間。
風が止まる。
音が消える。
―変化―
「……そうか」
ゼルの表情が消える。
完全に。
「知らないか」
声が落ちる。
温度が消える。
―冷却―
「……安心しろ」
淡々とした声。
「すぐには終わらせない」
ガルドの背筋が震える。
「……何を言って――」
「全部奪う」
短い宣告。
「もう奪ってるだろ……!」
「違う」
即答。
「まだ足りない」
―核心―
「お前は知らない」
「何を奪ったか」
「……は?」
理解できない。
「だから教えてやる」
一歩、近づく。
「お前が裏切った日」
「同時に一人、消えた」
沈黙。
「……何の話だ」
「俺の妹だ」
空気が凍る。
―衝撃―
「……っ」
ガルドの顔が歪む。
「……知らねぇ」
「そんな話は……!」
「そうだな」
ゼルが頷く。
「お前は知らない」
「だから」
「価値がない」
断言。
―完全断絶―
「……俺は……」
「関係ねぇ……!」
必死に否定する。
「俺はそんなこと知らねぇ!」
「知っていたらやらなかった!」
「本当だ!!」
叫び。
だが。
「……関係ない」
ゼルが言う。
「結果は変わらない」
「お前は奪った」
「それだけだ」
―絶望―
「……違う……」
「違う……!」
後退する。
足がもつれる。
視線が揺れる。
「……俺は……」
「そんなつもりじゃ……」
言葉が崩れる。
―処刑宣告―
「だからこそ」
ゼルが言う。
「終わらせない」
「……っ」
「お前には」
「終わりを与えない」
静かな声。
それが一番残酷だった。
―締め―
「……次で終わりだ」
ゼルが告げる。
冷たい目で。
ガルドを見る。
その視線に。
救いは一切なかった。




