第23話 すべてを失う
―中央広場―
ざわめきが、止まらない。
「……最低だな」
「……今までのは全部……」
「……信じてたのに」
民衆の視線が変わる。
尊敬は消えた。
残っているのは。
失望だけ。
―ガルド―
「……違う」
小さく呟く。
「違う……俺は……」
だが。
もう誰も聞いていない。
―騎士たち―
「……ガルド様」
一人が前に出る。
かつての部下。
「……今まで」
「ありがとうございました」
頭を下げる。
「……は?」
「どういう意味だ」
震える声。
「本日をもって」
「指揮下から外れます」
沈黙。
―最初の離反―
「……ふざけるな」
「命令だぞ」
「戻れ」
「……申し訳ありません」
頭は下がったまま。
だが動かない。
―連鎖―
「……俺もだ」
別の騎士。
「……従えない」
「今の状態では」
また一人。
「……同じです」
そして。
また一人。
また一人。
止まらない。
―崩壊―
「……おい」
「やめろ」
「戻れ」
声が震える。
「俺は……」
「まだ……」
言葉が続かない。
―空白―
気づけば。
周りに誰もいない。
騎士たちは離れ。
民衆も距離を取る。
残ったのは。
“ゼル”と。
“ガルド”だけ。
―地位の消失―
「……以上だ」
ルークが言う。
「現時点で」
「ガルドの指揮下は機能不全」
「統率能力なしと判断」
冷たい宣告。
「……お前……!」
ガルドが睨む。
「裏切ったのか……!」
「違う」
ルークは言う。
「正しい判断をしただけだ」
完全な否定。
―空っぽ―
「……俺は……」
ガルドが呟く。
「……何だ」
誰も答えない。
答えるものはもういない。
―ゼル―
「……終わりだな」
静かな声。
ガルドが顔を上げる。
「……まだだ」
「まだ終わってねぇ……!」
最後の抵抗。
だが。
何も残っていない。
―締め―
仲間を失い。
地位を失い。
信頼を失い。
残ったのは。
“何も持たない自分”だけだった。




