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第208話「閉じた食卓」

 王城内部。


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 食堂。


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 以前より。


 明らかに静かだった。


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 使用人たちも。


 騎士たちも。


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 会話が少ない。


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 笑わない。


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 音だけがある。


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 皿。


 椅子。


 食器。


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 それだけ。


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「……眠れたか」


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 騎士の一人が小声を出す。


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 向かいの男は首を振る。


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「……外を見るたび」


「……いる」


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 短い返答。


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 それだけで通じる。


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 ゼル。


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 もう。


 名前すら出さない。


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 出さなくても分かる。


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 その存在が。


 王城全体へ入り込んでいた。


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 一方。


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 最上階。


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 ヴァルディスは静かに朝食を取っていた。


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 窓の外。


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 王城前。


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 ゼル。


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 まだ動かない。


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「……人は慣れる」


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 小さな呟き。


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 近くの騎士が目を上げる。


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「……恐怖にも」


「……沈黙にも」


---


 短い沈黙。


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 そして。


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「……だから次に壊れる」


---


 騎士の背筋に。


 静かな寒気が走った。


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