198/268
第198話「近衛騎士団長」
王城前。
---
近衛騎士団長は。
ずっとゼルを見ていた。
---
何日目か。
---
もう。
感覚が曖昧になっている。
---
ゼルは動かない。
---
なのに。
近衛は限界へ近づいている。
---
「……団長」
---
若い騎士が近づく。
---
「……休んでください」
---
団長は首を振る。
---
「……ここを離れれば」
「……完全に崩れる」
---
小さな声。
---
若い騎士は返せない。
---
理解しているからだ。
---
今。
王城を支えているのは。
もう。
“形だけ”だ。
---
その時。
---
ゼルがゆっくり視線を向ける。
---
団長へ。
---
一瞬。
呼吸が止まりそうになる。
---
だが。
すぐに視線は外れる。
---
再び。
王城へ戻る。
---
「……なんなんだ……」
---
団長が小さく呟く。
---
敵意すら向けられていない。
---
それが。
何より苦しかった。




