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Blackstorm Ship's log  作者: ノアール
12/27

第12話:誘拐

 数々の難関を乗り越えて島の最奥にある祭壇でヴィンセントと激闘を繰り広げたシンはヴィンセントが炎に呑まれた後にそのまま倒れてしまう。

ブラックはシンを引きずって島を脱出しようとするが…

 シンが意識を取り戻すとそこは甲板だった。

シンは起き上がると周囲を見渡して船が沖に出ているのを確認する。

「島は…ヴィンセントは?」

シンが呟くと声が響く。

「沈んだわ。島ごとね。本当は貴方の船、取り戻してあげたかったんだけど、洞窟を戻ってる最中に島が半分以上沈んで私たちも海に落ちたの。それで、船になってここまで避難したのよ」

ブラックが説明する中、シンは海を眺める。

「信じられねーな」

「嘘はついてないわよ?」

シンの言葉にブラックが反論するとシンは首を横に振る。

「いや。ブラックの説明じゃなくてさ。あの島の事。誰かに言っても信じないだろうし、証拠も無い」

シンはそう言うと船首に向かってゆっくりと歩く。

「そうね。連れて行こうにも沈んじゃったし」

「んまぁ、良いよ。海賊シンは裏切り者たちを島ごと沈めて皆殺しにしたのでした。めでたし、めでたし。ってなるだけだからさ」

寂しそうに笑うシンにかける言葉をブラックが探す中、シンは島を見つける。

その島はシンがブラックを抱えて飛び上がったポートロイヤルだった。

「ごめんなさいね。あそこしか他に島を知らなかったから」

ブラックが謝るとシンは首を横に振り

「謝らなくて良い。何なら褒めたい位だ。俺のアジトはあの島に有る。島に着いたらアジトに行こう」

シンがそう言うと客船用の港にブラックは向かって行く。

積み荷等は無い為シンが船から飛び降りて着地するとブラックは人の姿になる。

港湾管理の職員がシンとブラックの元に近づいて来ると訝しむ様にシンとブラックを睨みつけてくる。

「おい。お前の船がどういう仕組みなのかは知らんが、港に「入って」船を「泊めた」んだから入港料と停泊料を払え」

シンとブラックが顔を見合わせるとブラックは冷ややかな視線で港湾管理の職員を睨みつける。

「シン。この礼儀知らずを斬り刻んだらあなたは困る?」

ブラックの問いにシンが笑いだすと港湾職員の顔が青ざめていく。

ブラックが手の先から魔力を出して鞭の様にしならせると突如、街の方から爆発音が響き渡る。

港に居る全員が音のした方向を向いたかと思うとシンとブラックを恐れと怒りの視線で睨みつけてくる。

「こいつはあまり良くないな」

シンが呟くと街や市場で爆発や雷鳴、吹雪が荒れ狂い、人々の悲鳴と何者かの襲撃が港にも押し寄せてくる。

シンが周囲を見渡して襲撃している者たちを探すと小型の低級悪魔たちが空を飛び回りながらそれぞれの使える属性魔法を乱射していた。

「何だってあんな雑魚どもが」

シンはそう言うと背中の剣を抜いて悪魔たちに挑もうとするが、悪魔たちの撃った魔法で爆発が起きると吹き飛ばされてしまう。

シンが起き上がるとブラックが魔力で悪魔たちを斬り裂いていたが、背後から近づいてきた悪魔たちにしがみつかれてしまうとブラックは悪魔たちの重みで倒れてしまう。

シンは立ち上がってブラックを助けに向かおうとするが、悪魔たちはシンに魔法を乱射すると雄叫びをあげる。

「ミツケタミツケタ。ヌドゥスサマノサガシモノミーツケタ!!」

悪魔たちは叫ぶとブラックを抱えて空へと飛び上がって行く。

シンはブラックを取り返そうと手を伸ばすが、雷魔法が命中するとシンは倒れてしまう。

シンが意識を取り戻すとそこはエメラルド・アイだった。

「目が覚めたか?居眠り王子」

声を聞いたシンがカウンターを見るとマスターがグラスを磨いていた。

「夢?」

シンが呟くとマスターは笑いだす。

「夢な訳あるか。ちゃんと現実だ。この島は襲撃された」

マスターの言葉を聞いたシンは立ち上がるがよろめいて膝をついてしまう。

「おい。不死身だからって無茶しすぎだ。とりあえず落ち着け」

マスターがカウンターから出てシンに歩み寄るとシンは首を横に振る。

「ブラックが拐われた。あいつら、何で」

シンが呟くとマスターは溜息をつく。

「仕方ない。俺が知ってる事を教えてやる」

マスターはそう言うとシンをソファー席に座らせてから近くの椅子に腰かける。

マスターの眼鏡には襲撃されたポートロイヤルの惨状が反射していた。

「この島を襲った悪魔たちは何者かに命令を受けて襲いに来たらしい。まぁ、正確に言えば襲う。よりも何かを探してたみたいだ。奴ら自身は指示をした奴の姿を見た訳じゃ無い。さてと。ここからが本題。こいつらは探し物を見つけたら戻る様に指示されていた。それが何処なのか。までは俺も知らんが、こいつならわかるだろう」

マスターが指を鳴らすと糸で縛り上げられた悪魔が現れる。

「この俺が居る島を襲うなんて無礼者の面を見る為に生け捕りにしたんだが…。お前にくれてやる。ブラックを拐った奴らと同種だから、帰る先も同じだろう。そいつの糸を緩めて飛べる様にしてやるからそれでブラックの場所に行くと良い。…わかってるよな?俺がわざわざ自分の持ち札をくれてやるんだ。それなりの結果を出せよ?」

シンが頷くとマスターは不敵に微笑み糸を緩める。

その瞬間に悪魔は店から文字通り飛び出ていった。

シンは傍らの大剣を手に取ると悪魔を追って店を出ていく。

「…死ぬなよ。シン」

マスターが見送るとシンは剣を背負い、翼を出して飛び上がり、悪魔を追いかける。

悪魔を追ってシンが飛び続けると島が見えてくる。

すると、シンの前を飛んでいた悪魔の身体がいきなり燃え始めたかと思うと悪魔がもがき苦しみながら墜落していく。

「あの島がこいつらの根城なのか?」

シンは見えて来た島へと向かうと城が見えてくる。

「あの中に居るのか?」

シンはそう言うと城の扉の前に着地すると翼を背中に収めて扉を開けようとする。

だが、扉はびくともしなかった。

「鍵が閉まってるって事は誰か居るんだよな?」

シンはそう言うと背中の剣を抜いて巨大な鋼鉄の扉を文字通り斬り開く。

扉の残骸が城のホールに倒れると舞い上がる埃が放置された年月を物語っていた。

「ゲホっ!ゲホっ!!」

シンが埃の洗礼を受けて咽(むせ)ると吹き込まれた空気によって埃が散り、視界に10m程の大きな石像が現れる。

シンが見上げるとそこには抜身の剣を構えた甲冑の姿をした石像が台座に立っていた。

「ここの主は趣味良くねぇみたいだな。普通、来客が初めて見るのが自分を見下ろす石像とか嫌だろ」

シンがそう言って足を踏み入れると石像が轟音を立てて身体を軋ませながら動き出したかと思うと巨大な剣を振り下ろしてくる。

シンが巨大な剣撃を回避すると石像騎士はシンを探す様に周囲を見渡す。

「動くのは凄いけどよ。ウェルカムドリンクも無しに剣を振り下ろすのは歓迎とは言えねぇぜ?」

シンの声を聞いた石像騎士が探す中、シンは階段の陰から飛び出したかと思うと石像騎士に殴りかかるが、石像騎士の挙動の振動で崩落した壁材に阻害されてしまう。

「くそ」

シンはそう呟くと回り込んで石像騎士の元へと向かうが、石像騎士は本来ならば守らなければならない城の壁を剣で叩くと壁材が次々に降り注ぐ。

シンは全ての壁材を避けると右腕をショットガンに変えて石像騎士に魔弾を撃つが、石像騎士が足を踏み鳴らした振動で落ちてきた壁材が砕けるのみだった。

シンは右腕を元に戻すと背中の剣を抜いて石像騎士に突きを打ち込む。

石像騎士は先程の様に足を踏み鳴らして壁材でシンの剣撃を防御しようとするが、シンは壁材を剣で突き砕くとそのまま勢いを緩めずに石像騎士の足に突きを打ち込んで転倒させる。

シンは剣を背中に収めると右腕をロケットランチャーに変えると起き上がろうともがく石像騎士に向かって撃ち放つ。

いつもの様に爆発が起きたと思った瞬間に空気中に舞う埃にすら引火してホールが炎に包まれたかと思うと全ての扉、窓から炎が吹き出てシンは爆風に吹き飛ばされてしまう。

爆発でホールの一部が崩れる中、黒煙に包まれた城の内部から瓦礫が飛んで来る。

シンは回し蹴りで瓦礫を蹴り砕くと背中の剣を抜いて黒煙の中に飛び込もうとするが、煙の中から現れた巨大な足に蹴り飛ばされてしまう。

シンが地面に落下すると石像騎士は地面を激しく震わせながら駆け寄ってくる。

シンは起き上がるとジャンプして石像騎士の剣撃を避けると飛び蹴りを食らわせる。

石像騎士が倒れるとシンは右腕をショットガンに変えるが、石像に左手で掴まれたかと思うと地面に叩きつけられてしまう。

シンの全身が潰されても石像騎士は地面を抉りながらシンの残骸を掴むと再度叩きつける。

石像騎士は起き上がると自分が作った土山を踏みにじる。

反撃が無い事でシンが死んだと思い満足したのか、ホールに戻ろうと石像騎士が足を上げた瞬間にシンが土山から飛び出して来たかと思うと石像騎士の足を何発も殴ってからトドメに蹴りを打ち込んで石像騎士を転倒させる。

シンは石像騎士の転倒の衝撃で吹き飛んできた自分の大剣を掴むと起き上がろうともがく石像騎士を斬り上げる。

石像騎士が落下してきて地面に再度激震が奔るとシンは先程の剣撃でつけた傷が修復されるのを見つける。

「ちっ。めんどくせーな」

シンはそう言うと剣を背中に収めてから石像騎士に殴りかかるが、石像騎士は転がって避けると駄々をこねる子供の様に巨大な足を何度も地面に振り下ろして、激震を奔らせながらたたでさえ荒れている城の門前の広場を更に踏み荒らす。

シンは最初こそ足を避けていたが、飛んで来る土や石が当たって倒れると埋められる様な形になってしまう。

石像騎士は起き上がると自分が踏み荒らした範囲を耕すかの様に剣を何度も振り下ろす。

何度目かに振り下ろされた剣の先にはシンが居た。

石像騎士は剣の先に刺さっているシンに気づくと剣を振り払う。

剣先からシンが吹き飛ぶと石像騎士は周囲を見渡してシンを探す。吹き飛んだシンを見つけた石像騎士は剣を勢いよく突き刺す。

石像騎士は勢いよく剣を引き抜くと地面に倒れているシンを斬り上げようと剣を振り上げる。

石像騎士の剣撃で大量の土が舞うとその中心に居たシンは石像騎士に向かって落ちていき、飛び蹴りを食らわせる。

石像騎士が倒れるとシンは手を銃に変えようとするが、石像騎士に掴まれると地面に叩きつけられてしまう。

石像騎士は起き上がると足元に居るシンに向かって剣を振り下ろす。シンの身体が巨大な石の剣に潰されると石像騎士は勢いよく剣を抜いてから足を踏み下ろす。

だが、石像騎士はシンを踏めては居なかった。何故ならば、シンの身体は石の剣の平面にくっついたままだったからである。

シンの身体は石の剣から落ちると引き寄せ合うように蠢く。

分離した身体が合わさり、シンの意識が戻るとそこには足を踏み鳴らして念入りにシンを殺そうとしている石像騎士の姿が有った。

「アホなのか?」

シンはそう言うと立ち上がって石像騎士の足を何発も殴り、とどめに蹴りを叩き込んで転倒させる。

島に激震が奔ると石像騎士はそのまま駄々をこねる様に足を何度も振り下ろして周囲を踏み荒らす。

石像騎士が暴れると岩が飛んで来るが、シンは岩に回し蹴りを打ち込んで砕く。

シンは手を銃に変えて撃とうとするが、起き上がった石像騎士の足に蹴り飛ばされて城壁まで飛ばされてしまう。

石像騎士は手ごろな岩を手に取ると動かないシンに向かって投げつける。

意識を取り戻したシンは岩を避けると落ちている自分の剣に駆け寄って拾い上げると飛び上がり、石像騎士に袈裟斬りを打ち込むが石像騎士はそのまま重力に引かれるシンを蹴り飛ばして城壁に向かってシュートする。

シンが城壁に突き刺さってゴールが決まると石像騎士はガッツポーズをしてから手頃な岩をシンに投げつける。

岩は城壁に当たると砕けるが、岩が砕けた場所にシンの姿は無かった。

石像騎士が首を傾げるとシンが石像騎士に足に剣で突きを打ち込む。

石像騎士は一瞬よろけるが、踏み止まると巨大な石の剣をシンに向かって振り下ろす。

シンは己の大剣で石の剣を弾き返すと背中に剣を収めてから右腕をロケットランチャーに変えて石像騎士に撃つが、剣で防がれてしまう。

シンは腕を元に戻してから飛び上がると石像騎士の顔面を何発も殴ってからトドメに踵落としを打ち込んで石像騎士の顔面を抉ってから着地する。

シンが見上げると石像の破片が元の位置まで飛んで行くとぴったりと吸い付く様に合わさり、石像騎士の顔面は元に戻る。

「絶対、お前石じゃねーだろ」

シンはそう言うと両手を拳銃に変えて石像騎士に向かって連射する。

魔弾が石像騎士の様々な部位を抉る中、石像騎士の破片は瞬時に融合して元通りになってしまう。

シンは両手を元に戻すと石像騎士の足元へと駆け寄り、フック、アッパーと連続で拳を石像の足に打ち込むと石像の股間に向かって虚空に拳を突き出して拳から漆黒の魔力を撃ち出す。

シンの撃ち出した魔力が石像騎士の股間を抉ったと思うと石像騎士の頭部からシンの魔力が突き抜けて天高く漆黒の閃光が光り輝く。

石像騎士が膝をつくとシンは両手を拳銃に変えて石像の内部に魔弾を乱射する。

石像が悶え苦しむ中、シンは背中の剣を抜いて斬りかかるが、石像の身体は完全に修復されてシンの剣撃を弾いてしまう。

「ちっ」

シンは舌打ちをすると剣を背中に収めて殴りかかるが、修復された箇所は頑丈なのか、石像騎士は動じる事無く修復を続けていた。

シンは右腕をショットガンに変えると石像に向かって魔弾を撃つ。

魔弾が石像を抉るとシンは腕を元に戻してから抉れた場所に蹴りを打ち込むが、足が当たる直前に修復されてシンの蹴りは弾かれてしまう。

「くそっ」

シンが悔しがる中、石像騎士は立ち上がって剣を振り下ろすが、シンは石像の剣撃を避けると背中の剣を抜いて魔力を込めて刀身を伸ばしたかと思うと勢いよく振り下ろして石像騎士を斬り砕く。

シンに斬られた石像騎士が砕け散るとシンは剣の刀身を元に戻して背中に収める。

「ふぅ。やっと片付いたな。さて…?」

シンは焼け焦げたホールを見てため息をつく。

「焦げ臭いんだろうなぁ」

シンはそう呟くと城の中に入っていくのだった。

 はい。12話目読了ありがとうございます。

次回からはシンの探索を書いていきたいと思ってます。

では、失礼します。

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