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我妹子し 我を思はば まそ鏡
我妹子し 我を思はば まそ鏡 照り出づる月の 影に見え来ね
(巻11-2462)
ひさかたの 天照る月の 隠りなば 何になそへて 妹を偲はむ
(巻11-2463)
※ひさかたの:月に掛かる枕詞。
私の愛しい妻よ、私を思ってくれているのなら、鏡のように照りながら天高く現れる月に、その姿を映して見せてくれないか。
天に照り映える月が隠れてしまうなら、何になぞらえて妻を偲ぶことができるのだろうか。
照る月に愛する人の顔を偲ぶ、映って欲しいと願う。
月が隠れてしまえば、愛する人の顔も心も見えなくなってしまい、自分の心も真っ暗になる。
二つの歌は、同じ男性が詠んだようで、心情が似通っている。




