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恋するに 死にするものに あらませば
恋するに 死にするものに あらませば 我が身は千度 死にかへらまし
(巻11-2390)
※死にかへらまし:死んで生き返ることを繰り返す。
恋をして、苦しんで死んでしまうものならば、この我が身などは、千回も繰り返して死んでいることでしょう。
作者は、数え切れないほどの恋に苦しんだけれど、死ぬまでには至らなかった。
おそらく、あちこちの人に恋をしたようだ。
多過ぎて、実ることがないことにも慣れてしまって、達観したような歌。
「一度二度の失恋で悩むな」と、励ましのようにも思えてくる。




