778/1385
あらたまの 五年経れど 我が恋ふる
あらたまの 五年経れど 我が恋ふる 跡なき恋の 止まなくも怪し
(巻11-2358)
※あらたまの:「五年」にかかる枕詞。
※跡なし:むなしい、実らないなどの意味。
恋心を抱いて五年も経つのに、私の恋が全く実らない。
しかし、それでも恋心がおさまらないのは、全く不思議に思う。
諸説では、「五年」は、都から地方に赴任している官僚の任期中のことらしい。
地方の女をモノにしようとしたけれど、全く実らなかった。
しかし、恋心はおさまらないと言うのである。
都からの官僚という身分が、通用しなかった。
それを不思議に思ったところで、土地の女にも相手を選ぶ自由がある。
都からの官僚の慢心を感じさせる歌である。




