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よしゑやし 来まさぬ君を 何せむに
よしゑやし 来まさぬ君を 何せむに 厭はず我は 恋ひつつ居らむ
(巻11-2378)
見渡せば 近き渡りを たもとほり 今か来ますと 恋ひつつぞ居る
(巻11-2379)
何ともどうにもなりません。来てくれないお方を、何を思って嫌うこともなく、恋して待ち続けているのでしょうか。
見渡すと、本当に近い渡し場なのです。でも、なかなかお越しにならないので、どこか遠回りでもなさっているのかと、それでも今にもお越しになるのかと思って、待ち続けているのです。
男の訪れを、いろいろと考えながら、待ち続けている女の歌になる。
切実な思いが感じられる。




