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あられ降り 板屋風吹き 寒き夜や
あられ降り 板屋風吹き 寒き夜や 旗野に今夜 我がひとり寝む
(巻10-2338)
※旗野:所在未確定。奈良県高市郡高取町(旧波多郷)または明日香村畑説あり。
あられが降り、板屋を風が吹きならすような寒い夜になりました。
こんな夜に旗野で一人で寝なければならないのでしょうか。
肌感覚で寒さと、風の怖さ、一人寝の寂しさが伝わって来る。
あられのパラパラとした音。
風が板屋をガタガタと揺らす音も、寒さ、怖さ、寂しさを増す。
暖房設備も現代とは比較にならないほどの時代。
せめて暖を取れるのは、人肌だったのだから。




