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降る雪の 空に消ぬべく 恋ふれども
降る雪の 空に消ぬばく 恋ふれども 逢ふよしなしに 月ぞ経にける
(巻10-2333)
右は、柿本朝臣人麻呂かが歌集に出づ。
降る雪が、空の途中で消えてしまうように、恋い焦がれていても、逢う機会もないままに、月を過ごしてしまった。
特に「降る雪の 空に消ぬばく 恋ふれども」が、心に響く。
まさに、どれほど思っても、途中で全ての機会を消されてしまうような、実らぬ恋。
「月ぞ経にける」も、一月、二月ではない、数か月か、あるいはそれ以上か。
柿本朝臣人麻呂の若い頃の作とも、言われている。




