751/1385
あしひきの 山かも高き 巻向の
あしひきの 山かも高き 巻向の 崖の小松に み雪降り来る
(巻10-2313)
※あしひきの:山にかかる枕詞。
巻向の 檜原もいまだ 雲居ねば 小松が末ゆ 淡雪流る
(巻10-2314)
山が高いからだろうか、巻向の崖に生えた松に、雪が降っているのが見える。
巻向の檜原の上には雲がないのに、松の梢には泡雪が流れているのが見える。
二つの歌は、柿本人麻呂歌集から。
自分の周りではなく、高い山だけに雪が待っている様子を、視線を上下させて詠む。
見る世界の大きさが、いかにも人麻呂と思う。




