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はだすすき 穂には咲出ぬ
はだすすき 穂には咲き出ぬ 恋を我がする
玉かぎる ただ一目のみ 見し人ゆゑに
(巻10-2311)
※はだすすき:「穂には咲き出ぬ」にかかる枕詞。
※玉かぎる:「ただ一目」にかかる枕詞。
そっと知られぬように恋をしているのです。
ただ一度だけの逢瀬のお方なのですから。
古代において「見る」は、逢瀬や共寝を意味する。
たまたまの、一度だけの逢瀬で、間もない時期だったのかもしれない。
今後、相手が通って来るか、それは確信が持てない。
そこまで、自分に自信がない。
だから、他人には知られないようにしている、と詠む。




