743/1385
もみち葉の 過ぎかてぬ児を
もみち葉の 過ぎかてぬ児を 人妻と 見つつやあらむ 恋しきものを
(巻10-2297)
紅葉が散る様子を見過ごせないように、見過ごしてしまうことなどできない、あの子なのに、これからは他人の妻として見なければならないのだろうか。
可愛くて恋しくてたまらないのに。
大まかに、二つの解釈がある歌。
①思い焦がれていた娘を、他の男に取られてしまった男の嘆きの歌。
②子供の頃から可愛がっていた姪が、結婚することになり、その際に悔しがるふりをする歌。
諸注釈書では、①が多いけれど、②のほうが面白みがある。




