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秋萩の 花野のすすき 穂には出でず
秋萩の 花野のすすき 穂には出でず 我が恋ひわたる 隠り妻はも
(巻10-2285)
秋の萩が一面に咲き誇る野の中で、穂を出して目立たぬように、ひっそりと隠れているススキ。
そのススキのような、私がひそかに恋し続けている隠し妻が、気にかかるのです。
数多の美しい女性の中にあって、実は目立たない彼女なのかもしれない。
また、彼女の身分も低いのか、関係を知られても都合が悪い可能性もある。
しかし、作者は、その彼女に恋してしまった。
関係を秘めていなければならないだけに、いっそう、気がかりになるのだろう。




