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長き夜を 君に恋ひつつ 生けらずは
長き夜を 君に恋ひつつ 生けらずは 咲きて散りにし 花にあらましを
(巻10-2282)
長い夜を、あの人を恋慕いながら、ただ生きているだけならば、咲いては散ってしまった花になりたかったと思うのです。
どんな事情があるかはわからないけれど、恋人の夜離れが、相当の長い期間続いたのだと思う。
作者は、こんな寂しい長い夜が続くなら、ただ生きているだけで、何の喜びもない。
それなら、愛でられた後は、散ってしまう花のほうが、まだましだと嘆く。
これも、せつない思いを詠んだ万葉の名歌と思う。




