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道の辺の 尾花が下の 思ひ草
道の辺の 尾花が下の 思ひ草 今さらさらに 何をか思はむ
(巻10-2270)
※思ひ草:ススキの根に寄生するハマウツボ科のナンバンキセルらしい。
秋に15センチ程度の花軸の先に筒状で淡い紫の花を開く。その形状がキセルに似ている。また、花が首をうなだれるように見えるので、思ひ草としたらしい。なお、万葉集の中で、この歌だけに使われている。
※今さらさらに:今さらに。
道端のススキの下に生えた思い草のように、今さらどうして何を思い悩むことがあるのでしょうか。
恋人と決別した後の歌だろうか。
道端の「下を向く思ひ草」を見て、あのような姿にはなりたくない。
決別した事情はわからないけれど、いつまでも失恋に沈んでもいられないと、詠む。




