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さ雄鹿の 朝伏す小野の 草若み
さ雄鹿の 朝伏す小野の 草若み 隠らひかねて 人に知らゆな
(巻10-2267)
※草若み:草が育っておらず丈が短い状態。
さ雄鹿の 小野の草伏 いちしろく 我が問はなくに 人の知れらく
(巻10-2268)
野の草が短くて、雄鹿が身を隠せないことがあるけれど、私たちの関係は世間に隠しきれないとか、そんなことがないようにお願いしたいのです。
雄鹿が寝た跡はわかってしまうけれど、私はそんな下手なあからさまな共寝をしたつもりはないのです。それにもかかわらず、世間に知られてしまったのです。
鹿にかこつけて、二人の仲が知られないようにとか、隠したつもりだったけれど知られてしまったとか、そんなことを言い合う男女の歌。
寝床で抱き合いながらかもしれない、そうすると、艶めいてくる。




