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秋の田の 穂の上における 白露の
秋の田の 穂の上における 白露の 消ぬべくも我は 思ほゆるかも
(巻10-2246)
秋の田の 穂向きの寄れる 片寄りに 我は物思ふ つれなきものを
(巻10-2247)
秋の田の稲穂の上に置かれた白露は、あっけなく消えてしまいます。
私も同じように消し去られてしまうような、そんな不安を思うのです。
秋の田の稲穂は片方だけに、その向きを寄せています。
そして私の方には向きません。
そんな、あなたのつれなさのため、物思いに沈んでおります。
一首目は、逢瀬の後、相手に失望感を与えたと感じ、今後は愛を失うかもしれない不安。
二首目は、憧れの人は、また別の人に懸想していて、自分には見向きもしない辛さに沈む。




