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心なき 秋の月夜の 物思ふと
心なき 秋の月夜の 物思ふと 眠の寝らえぬに 照りつつもとな
(巻10-2226)
私の状態など、何も察してくれない秋の月は、物思いで辛くて眠りに付けないというのに、やたらに明るく照り続けているのです。
恋人の夜離れか、そんな状態で苦しんでいるのに、秋の名月は無神経にも照り輝いて、私を寝かせてくれないと、月を怨む。
本来は秋の名月と思う。
その月見をしようと、恋人が来てくれるかもしれない。
けれど、随分、夜離れ状態なので、とても期待はできないから、悔しくて悩む。
しかし名月は、そんな苦しさには、おかまいなく照り続ける。
待つだけの立場は、辛いということだろう。




