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一年に 二度行かぬ 秋山を
一年に 二度行かぬ 秋山を 心に飽かず 過ぐしつるかも
(巻10-2218)
一年に二度は見ることができない秋山の美しさを、心を満足させるほど見ることができず、そのまま過ごしてしまいました。
よほど忙しい人だったのか、あるいは病弱で山歩きができない人だったのか。
素晴らしく美しい秋山の風情を、ほんの一度見ただけで、それ以上は見られず、やり過ごすしかなかったと詠む。
できれば飽きるほど、しっかり心を満足させるほど見たかったけれど、自分自身の事情に、大自然の流れが付き合ってくれることはない。
そのような残念さが、秋山の素晴らしさを、ますます魅力のあるものと、するのかもしれない。




