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春は萌え 夏は緑に 紅の
春は萌え 夏は緑に 紅の まだらに見ゆる 秋の山かも
(巻10-2177)
春は花や草木が一斉に芽生え、夏は一面の緑におおわれ、今は紅がまだら模様に見える秋の山です。
季節ごとの山の色の変化を詠んだわかりやすい歌。
古代人、特に庶民は暦で季節を知るわけではない。
目に見える自然、肌にあたる風、それぞれの変化で、季節を知った。
また時計(時間)により動くのではない。
太陽が昇ったから起きる。
暗くなったから、家に帰る。
そんな自然に即した生活だった。
決して、時の為政者に統治の都合で押し付けられた暦や時間で、生きていたのではない。




