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このころの 秋風寒し 萩の花
このころの 秋風寒し 萩の花 散らす白露 置きにけらしも
(巻10-2175)
※このころの:現代語の「このごろの」と同じ意味。ただし、万葉集中では、この一首のみ。
このごろの秋風は実に寒く感じられます。
萩の花を散らしてしまうような、白露が降りているのでしょうか。
肌にあたる秋風の冷たさから、白露により散って行く萩の花を心配してしまう。
これも、晩秋を詠む名歌と思う。
白露の「置き」を、「降り」と訳してみた。
諸解説書では、「置いた」が主流であるけれど、現代日本語では意味が通りにくいと考えた。




