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秋萩の 恋も尽きねば さ雄鹿の
秋萩の 恋も尽きねば さ雄鹿の 声い継ぎい継ぎ 恋こそ増され
(巻10-2145)
※い継ぎい継ぎ:次々に、途切れなく
美しい秋萩が咲き誇る中、私の恋心は尽きることがなく、その上、雄鹿の悲し気な鳴き声が途切れなく聞こえて来るものだから、恋心は強くなるばかりなのです。
少々、意訳を施してみた。
作者は、美しく秋萩が咲き誇る中、恋人を思い続けている。
できれば、一緒に並んで見たい、けれどそうではない、それができないので寂しくて仕方がない。
そのような時に、雄鹿が妻を求める鳴き声が、もの悲しく途切れなく聞こえて来る。
そのもの悲しさから、作者の恋心は強くなるばかりとなる。




