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君に恋ひ うらぶれ居れば 敷の野の
君に恋ひ うらぶれ居れば 敷の野の 秋萩しのぎ 雄鹿鳴くも
(巻10-2143)
※敷の野の:所在未詳。大和国磯城郡の野説があるが、確定されていない。
あのお方への恋で悩んでいると、敷の野の秋萩を押しなびかせて、雄鹿が妻を探して鳴いている。
思いは募るけれど、その恋人がなかなか訪れて来ない、そんな不安、寂しさに苦しんでいると、雄鹿が妻を探して秋萩を押しなびかせながら、あの悲し気な声で鳴いている、ますます自分も悲しく辛くなってしまう。
これも片思いの苦しい心と秋の情景を組み合わせた名歌と思う。




