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明け暗の 朝霧隠り 鳴きて行く
明け暗の 朝霧隠り 鳴きて行く 雁は我が恋 妹に告げこそ
(巻10-2129)
夜明け時でまだ暗い朝霧に隠れて鳴きながら飛んで行く雁、私の恋しい思いを彼女に告げてはくれないだろうか。
この歌は、前漢の蘇武の故事を踏まえている。
匈奴の国に使者として出向き、捕らえられてしまった蘇武は、雁の足に手紙を結び託して、故国に伝えた。
それを踏まえて、この歌の作者も、旅の途中であったと言う説がある。
また、自分の家にはいるけれど、なかなか思いを伝えられないので、雁に託したとの説もある。




