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雁がねの 来鳴かむ日まで 見つつあらむ
雁がねの 来鳴かむ日まで 見つつあらむ この萩原に 雨な降りそね
(巻10-2097)
雁が飛来して鳴き声を聞くまでは眺めていたいので、この美しい萩の原に雨は降らないで欲しい。
萩は初秋に咲き始める。
また雁はその時期より遅く飛来し、その時期には萩は散ってしまう。
作者は、その間に、雨が降り萩を散らしてしまうことを残念と思う。
だから、雨は降って欲しくない。
大自然の流れの中で、全く無理筋な話と思うけれど、美しい萩の原を見てしまうと、なるべく長く見続けたい。
実に心情を自然に詠んだ歌と思う。




