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我こそは 憎くもあらめ 我がやどの
我こそは 憎くもあらめ 我がやどの 花橘を 見には来じとは
(巻10-1990)
この私が気に入らないと思われたとしても、我が家の庭の橘の花まで見に来られないと言われるのですか。
なかなか、複雑な女性の歌。
おそらく、相当期間、男が家に来ないのだろう。
だから、「憎まれた、気に入らないと思われた」と不安。
しかし、橘の花が美しく咲いたので、私のことはともかく、橘の花見に来られることまでは拒まないで欲しいと詠む。
男からすれば、可愛らしい甘えの歌。




