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このころの 恋の繁けく 夏草の
このころの 恋の繁けく 夏草の 刈り払へども 生ひしくごとし
(巻10-1984)
最近は恋心が激しくて、まるで夏に生えてくる草が、どれだけ刈り払っても、生えて来てしまうようなものなのです。
よほどの恋の病か。
諦めようとしても、そのたびごとに恋しさは募る。
常軌を逸しているなどと、誰に笑われようと、叱られようと、どうにもならない。
そういう恋に苦しむ時期は、たいていの人があるので、実感としてわかりやすい。
それを表現するために、夏の草を使う、なかなか的を得ていると思う。




