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五月山 花橘に ほととぎす
五月山 花橘に ほととぎす 隠らふ時に 逢へる君かも
(巻10-1980)
五月の山の橘の花に、ホトトギスが隠れてしまうように、私が家の中で一人きりの時に、あなたは逢いに来てくれたのですね。
おそらく、男の訪れを望みながら、その実現には自信が持てなかった。
そして、家の中で物思いにふけっていたら、思いがけなく男が通って来た。
これは、待つ女としては、本当にうれしい。
男にも、様々な事情があったのかもしれない。
ただ、気まぐれで、女の家に出向いたのかもしれない。
そんな説を唱え学者もいるけれど、それは野暮の極み。




