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春されば すがるなす野の ほととぎす
春されば すがるなす野の ほととぎす ほとほと妹に 逢わず来にけり
(巻10-1979)
※すがるなす野:すがる蜂(じが蜂)。横に白い縞模様。春に生まれ、夏にかけて、ブンブンと飛ぶ。
※ほとほと:危うく
春になると、すがる蜂が飛び回る野のホトトギスのように、危うく彼女に逢えないまま、帰って来てしまうことでした。
彼女とデートの約束をしていたけれど、すがる蜂やらホトトギス(実は口やかましい、噂好きな邪魔な人たち)がいて、危うく逢うことすら難しかった。
それでも、逢えたのだから良し、そんな実感がこもる歌。




