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橘の 花散る里に 通ひなば
橘の 花散る里に 通ひなば 山ほととぎす 響もさむかも
(巻10-1978)
私が橘の花が散る里に通うことになると、山のホトトギスは大騒ぎをするのだろうか。
「橘の花散る里」には、通いたい女の家があり、「山ほととぎす」には口やかましい世間も含まれる。
女の家に通うのだから、当然、男の立場の歌。
通われる女が気にするほうが当然で、男が気にするのは疑問。
それを考えると、「三角関係」を詠む可能性が高い。
通いたいと思っている男よりも、女には既に「身分の高い男」が通っている。
それだから、人のうわさが、気になってしまうのかもしれない。




