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春日野の 藤は散りにて 何をかも
春日野の 藤は散りにて 何をかも み狩りの人の 折りてかざさむ
(巻10-1974)
※み狩りの人:この歌では、五月五日の薬狩りをする官人たちのこと。尚、薬狩りは、薬草や鹿の袋角を採る行事。
春日野の藤の花は既に散ってしまいました。
み狩りの人たちは、これからは一体何を折り取って、かざしにするのでしょうか。
藤の花は美しく、藤を手にした美しい女性は、藤娘と呼ばれ、藤の花が咲き誇りなびく様子は藤波とも表現された。
おそらく藤娘とも称される美しい娘に相手ができてしまい、それに落胆した失恋の歌のような気がする。




