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風に散る 花橘を 袖に受けて
風に散る 花橘を 袖に受けて 君が御跡と 思ひつるかも
(巻10-1966)
※花橘:花が咲いている時期の橘。甘酸っぱいほのかな香りを漂わせる。
風を受けて散る橘の花が、私の袖に留まりました。
この花を貴方の思い出として、し風に散る 花橘を 袖に受けて 君が御跡と 思ひつるかも
(巻10-1966)
風を受けて散る橘の花が、私の袖に留まりました。
この花を貴方の思い出として、愛でることになりそうです。
かつては、橘の木を二人で愛でたのだと思う。
しかし、事情は不明ながら、相手の男は既にいない、一緒に見ることはできない。
だから、風で散り、袖に留まった橘の花を、その甘酸っぱい香りとともに、男の思い出として愛でる。
花と恋の名歌として、もっと知られてもいいと思う。




