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雨ばれの 雲にたぐひて ほととぎす
雨ばれの 雲にたぐひて ほととぎす 春日をさして こゆ鳴きわたる
(巻10-1959)
※雨ばれ:雨あがり。万葉集中では、この歌のみの用例。
雨があがり、流れて行く雲に連れ立って、ホトトギスが春日の方に、この我が家の上を鳴きながら、飛び去って行く。
梅雨晴れの風景を詠んだ歌。
雨があがって、家の庭から空を見ると、ホトトギスが動く雲と一緒に、春日の方角に
鳴きながら飛んで行く。
ただそれだけ、と言えば、そうなるけれど、実に清々しい歌と思う。




