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大和には 鳴きてか来らむ ほととぎす
大和には 鳴きてか来らむ ほととぎす 汝が鳴くごとに なき人思ほゆ
(巻10-1956)
故郷の大和では、鳴きに来ているだろうか。
ホトトギスよ、お前が鳴くたびに、失った人を思い出してしまう。
作者にとって故郷でもある奈良の都から、久邇京に遷都した時期の歌と思われる。
ウグイスが今の自分の屋敷に鳴きに来るたびに、亡くなった人と故郷大和の屋敷で、一緒に鳴き声を聞いたことを思い出してしまう。
中国では、ホトトギスの鳴き声を、悲しく過去を恋うととらえ、亡くなった人の魂の化身ともされている。
作者は、「なき人思ほゆ」と詠んでいることから、一定の教養の持ち主で、中国詩の影響を受けていると思われる。




