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相思はぬ 妹をやもとな 菅の根の
相思はぬ 妹をやもとな 菅の根の 長き春日を 思ひ暮らさむ
(巻10-1934)
春されば まづ鳴く鳥の うぐひすの 言先立ちし 君をし待たむ
(巻10-1935)
気持ちが届かない貴方なのに、私は諦められず何もできず、菅の根のように長い春の一日を思い悩み過ごすことになりそうです。
春が来て、まず鳴き声をあげる鶯のように、先に言葉をかけてくれた貴方を待つことにいたします。
想像するに、まず男が女に声をかけた。
しかし、女は恥じらいもあったのか、ためらった。
男はそれに落胆、自信もなくし、ただ悩むだけ。
しかし、女のほうが強い。
貴方が先に声をかけてきたのだから、その気持ちを行動に示して欲しい、だから私は待ちます、と返す。
結局、男の想いは、女に届いていたということになる。




