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梅の花 散らす春雨 いたく降る
梅の花 散らす春雨 いたく降る 旅にや君が 廬せるらむ
(巻10-1918)
梅の花を散らしてしまうほど春雨がひどく降っています。
あなたも旅の途中で雨宿りをなさっておられるのでしょうか。
できれば一緒にいたい、梅の花の散る様子も見たくない。
しかし、あなたは旅の途中。
こんなひどい春雨の中、雨宿りはできていますか、と夫の身の安全を心配する。
良妻の鏡のような思いやりにあふれた歌と捉えたい。
「亭主元気で留守がいい」タイプの妻では、考えもしない歌。




