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春霞 山にたなびき おほほしく
春霞 山にたなびき おほほしく 妹を相見て 後恋ひむかも
(巻10-1909)
山にたなびく春霞のように、しっかりとではなく彼女と目が合っただけなので、後になって恋しくてたまらなくなりそうな気がします。
「おほほしく」は、「ぼんやり」とか「おぼろげ」の意味を持つ。
ただ「相見」となっているので、軽く、お互いの目が合ってしまったと解した。
よほど可愛い女の子なのか、たまたま目を合わせてしまったばかりに、後々また見たいと思って、それがかなわず苦しむ。
初心な少年の初恋のような雰囲気がある。




