637/1385
春されば 水草の上に 置く霜の
春されば 水草の上に 置く霜の 消につつも我は 恋ひわたるかも
(巻10-1908)
※水草:水辺の草
春になると、水草の上におりた霜はすぐに消えてしまいます。
私も、そんな消え入るような思いで、恋をし続けているのです。
恋する人の顔が見えただけで、すぐに姿を隠してしまうような、初心な女性なのだろうか。
ただ、姿を隠したところで、恋心を抑えることはできず、また恋する人の顔を見たいと願ってしまう。
恋の結末が全く見えない時期の、繊細な想いを詠んだ歌と捉えている。
尚、万葉集の中で、春の霜はこの一首のみ。




