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春されば まづさきくさの 幸くあらば
春されば まづさきくさの 幸くあらば 後にも逢はなむ な恋ひそ我妹
(巻10-1895)
※さきくさ:春に葉に先立ち黄色の小さな花を咲かせる花。みつまた説あり。
春になると最初に咲く草のように、もし私が無事であったなら、後で逢うことができると思います。だから、あなたは、そんなに恋い焦がれないでいて欲しいのです。
なかなか逢えない状態の関係の二人か。
遠隔地にいるか、あるいは男が病気療養中なのかもしれない。
男が健気に詠みかけている歌になるけれど、女からの返歌がない。
あてにならない男に愛想を尽かして、女は新しい男と関係を持ったとも考えられる。




