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霞立つ 春の永日を 恋ひ暮らし
霞立つ 春の永日を 恋ひ暮らし 夜もふけ行くに 妹も逢はめやも
(巻10-1894)
※霞立つ:春の枕詞。
霞が立ち込める春の長い一日を、ただ恋い焦がれるだけで過ごしてしまいました。
もう夜も更けていくけれど、あの人に逢えるのでしょうか。
逢うことなど不可能な、恋するだけの男の嘆き歌のような印象。
思う相手には、すでに立派な男がいて(自分は捨てられ)、それでも諦めきれないのかもしれない。
一夫多妻の時代、こんな思いに苦しんだ男性も多かったと思う。




